-あわいろ言葉館-

『子鬼のいた場所』



石を積んで手を伸ばし

星をとろうとした 天邪鬼

石は崩れて死んでしまった

愚かしく聡い 天邪鬼



私は決して笑えない

夢を見ていた無邪気な子鬼を

全てを笑い飛ばしながら

石を積んで 伸ばしたその手を



孤独な天邪鬼の見る夢は

私と同じ夢かしら

手を伸ばしたなら星にも届く

あぁ なんてロマンチスト



全てを笑い飛ばすのは

きっと寂しかったから

人の皮を被ってみたのは

きっと構ってほしかったから



愉快に笑う内側を

知っていれればいいのだけれど

あなたに関わるお話は

どれも哀しいものばかり

どれも淋しい物語



石を積んで上った場所も

くずれた今は夢の跡

ばかげた話と人は言うけれど

夢の跡はとても綺麗で素敵な遺品よ



私にはやっぱり笑えない

星に伸ばした孤独なその手を